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【木工塗料難民に捧ぐ】家具製作の塗料選びと着色ニスという選択肢

皆さんこんにちわ。Seamless Lifeです。

皆さんは、DIYで塗装(仕上げ)を行う際、どういったものを使っているでしょうか?

ワトコオイル?水性ステイン?それともブライワックスのようなワックス系でしょうか?

今回、当サイトでは普通の人がまず使いそうもない(笑)「和信ペイント 水性ウレタンニス艶消しエボニー」と言う商品を筆頭に、木工塗装と言うものについて自分が経験した内容を紹介していきたいと思います。

結論:カラーニスは使いこなすと最強です(但し条件がある)


木材塗装の種類

これは全てを知っている訳ではないので私が普段から使用している、または使用した経験のあるものに限られますが、ざっと書き出すとこんな感じです。

① ニス(水性・油性)
② ステイン(水性・油性)
③ ワックス(ブライワックス、未ざらし蜜蝋ワックスなど)
④ オイル(ワトコオイル、キシラデコールなど)
⑤ ペンキ(ターナーミルクペイントなど)
⑥ ハイブリッド系(オスモカラー=オイル+ワックスなど)

もっとニッチな商品もあるかもしれませんが、皆さんが思いつくのもこの位だと思います。

それぞれの塗料には特徴があって、調べると色々出てくると思うので今回は細かくは記載しません。

こうやって並べると結構色々な選択肢があるのですが、これらの製品は単独で機能する物は余り多くなく主に着色するという仕事と保護するという仕事をそれぞれ別の塗料で担っているものが大半だと自分は理解しています。

例えばステインは木材に浸透する系の塗料ですが、保護能力が低いです。塗った後、十分乾燥させたとしてもウエスで強くこするとウエスに色移りします。

よって、ステインで仕上げた後には透明のニスなどを塗り重ねて表面を保護することが必要になり、但しそれは使用用途にもよります。

機能以外にも、当然見た目(塗った後の色、質感)も選択する条件になると思います。

と言うか塗料である以上、塗った後に自分が理想とされる見た目にならないと意味がありません。

でもネットで色々と調べても、これ中々出てこないんですよね。サンプルを作って紹介しているサイトも見たことがありますが、非常に良い記事だとは思うのですが使ってる材料が違っているせいで、自分のDIYの参考にはならなかった記憶があります。

では自分が解説出来るのか?と言うと、やっても良いんですが閲覧されている方の方向性を限定してしまうような内容になってしまうため(経験はあるが、全てを知っている訳ではない)、飽くまで自分の経験上の話を紹介するに留めようと思います。

但し、自分の中ではもう「答え」は出来上がっているので、参考になるとは思っています。


塗料選びの方向性(塗料難民にならないために)

最終的にはご自身で実際に使ってみて選択して頂くことになるのですが、そのための道しるべとしていくつかの段階をヒント(と言うと烏滸がましいですが)を記載します。

原則1:木工用塗料は透明である=色は木材と塗料のミックス

これは経験されたことがある人は殆ど分かっているかもしれませんが、敢えて記載しました。

回りくどい言い方はせず直接的に言うと、塗り終わった後の色は、塗料の色と元の木材の色を重ねたような色になる、と言うことです。

この「透明塗料」の分かりやすい例が、皆さんも中学校高校で勉強する時に使ったあの緑と赤のチェックペンです。※ペンキは除きます

ただ、これは絶対的な色合いを決める判断条件ではなく、注意事項に近いです。

例えばビバホームでラワン合板を買うと、同じ売り場に同じ商品として置かれているものでも白っぽいラワン合板と赤っぽいラワン合板があり、色味に差があります。

塗った時の色が変わるよ、と言うのもありますが、どちらかと言うと違うロットの合板は並べて使えないよと言うことが大事です。

並べると、露骨に色の違いが出るんで。

気にしない、と言う方も多いかもしれませんが、ご注意ください。

なお、個人的にはシナ合板はこういったロット差が殆ど出ない気がします(赤ラワンと白ラワンと言うそもそも種別が存在しているラワン固有の話かも)。

原則2:塗料の色の濃さは木材で決まる

これが一番大事です。簡単に言うと

①塗料を吸込みやすい木材→塗ると濃くなる
②塗料を吸込みにくい木材→塗ってもあまり色が付かない

ってことです。以下、①の状態を「染まりが良い」と表現します。

このサイトではホムセンで買える安価な材料にしか手を出さないようにしていていますが、その中で比較するとこんな感じ(★の数が染まりの良さ)。

ラワン合板:★★★☆☆
シナ合板:★★☆☆☆
SPF(ワンバイ材、ツーバイ材):★☆☆☆☆
杉:★★★★★
松(パイン材):★★★★☆

また、これに対し塗料も染まりの良さに差があります。これは銘柄(メーカーや商品)によっても変わるので、使ったことのある具体的な商品名で記載します。

ローズガーデンカラーズ(水性ステイン):★★★☆☆
WOODLOVE オイルステイン(油性ステイン):★★★★★
ワトコオイル:★☆☆☆☆~★★☆☆☆ ※色によって若干の差がある
ブライワックス:★★☆☆☆
キシラデコール:★★★★☆

このうち、やってはいけないのは染まりの悪い材料・塗料同士を組み合わせることです。

例えばSPF(★1つ)にワトコオイル(★1つ)で塗った場合どうなっちゃうのでしょうか?

こんなきったねぇ感じになります(笑)

多分、これが良いって人はこの世には殆ど居ないのではないかと思います。腐った流木みたいな感じ。

逆にSPF(★1つ)に対してWOOD LOVE オイルステイン(★5つ)塗るとこんな感じです。

これの上からさらにブライワックス(ジャコビアン)を塗ったのがこちらの窓枠埋め込みマガジンラック

これは自分が狙った色、そのものでした(家のドアの色と同じにしたかった)。

ブライワックスは★2つだったので元の色は余り変えず、若干の艶と保護能力を期待して塗りましたが見事に大正解でした。

こんな風に、木工塗装と言うのは素材の染まりの良さ、着色塗料の濃さ、保護塗料の濃さの合計3つが合算して決まるもので、言ってしまうと組み合わせが無限に存在します。

その中から自分が求めているものを探すのは非常に骨の折れることなのですが、使う材料は結構限られてるから、ある程度欲しい色に狙いを定めて塗料を買って後は話したようにオープンタイムを工夫したりしてコントロールして、欲しかった色を手に入れるようになるまで検証を重ねるしかないかなぁと思っていました。

そんな自分に現れた救世主

かくいう自分もDIY始めた頃は塗料難民になっていて、塗っても気に入った色になる確証が無いけど、正解は知らない、と言う状態で一時期手が止まっていたことがあります。そんな時に現れたのがこれです。

と言うものでした。

なんかいきなり材料が限定されちゃってますが、ここを複数捉えると話が発散してしまうので、とりあえずこの記事の中では当サイトで圧倒的に使用量の多いラワン合板に限定します。

で、このウレタンニスは色が付いている、いわゆる着色ニスのカテゴリーになります。

こいつは色々とメリットを持っていて

<メリット>
① 着色と保護塗装が同時に出来て1回で話が済む。
② 水性なので臭くない。薄め液や洗浄液が不要。
③ 保護能力が高く、耐久性に優れる。
乾燥が早く、作業効率が良い。
⑤ 一発塗りなのに、見た目がステイン+ニスのように塗料が浸透した感じになる。
安い。
塗り重ねる回数で色の濃さを変えることが出来る。

と言う具合に、大量の家具をDIYで量産するために必要な「効率」面で秀でた点が多いのが特徴です。

一方で、一般的な意見としてデメリットは

<デメリット>
⑧ 塗るのがめっちゃ難しい(色むらになりやすい)。
⑨ ニスで塗るため、木材特有の質感が失われる。
⑩ 木口部に垂れやすく、ちょっとでも乾燥すると修復が不可能

と言ったものでした。

正直、自分は観賞用の工芸品を作っている訳ではないので⑨は無視するとして、問題は⑧と⑩なのですが、当方で色々試してみた結果

ラワン合板やシナ合板にコテバケで塗る限りでは全く問題にならない
木口部はコテバケではなくメラミンスポンジ(激落ちくん)を併用すれば回避できる

と言う検証結果が得られました。塗ってる様子はYoutube動画の実例見て下さい。

なんで合板は大丈夫なのか?と言うと、多分、表面がある程度ザラザラ(凸凹)しているからです。

このニスはステインのように表面に浸透していくタイプではないため、普通に刷毛で塗ると刷毛目が露骨に出るのですが、ラワン合板にコテバケで塗る限りではこのムラは出てきません。

以前、こちらのレンジ台収納製作の時にパイン材に塗ったことがあるのですが、コテバケでも目で見て分かるムラが出ました。

まぁ、使い始めたら気にならないけど。

塗った後の感じはどうなるのか?と言うとこんな感じ(向かって右側のキャビネット)。

自分はコレ、好きです。

一番安価なラワン合板使ってるのに、なんか悪くないじゃん、それっぽいじゃん、みたいなレベルまで押し上げてくれる。

そして安い、作業性良い、マイペットでガンガン拭いても全く問題ない、という究極の実用性を兼ね備えていて、知った時は今年一の個人的ニュースでした。

ラワンは他の木材と違って節目がうるさくないので、それが後押ししている可能性もあります。

以後、多分この缶だけで5回位買ってます。その位、よく使ってます。

良く使うターナーミルクペイントホワイトとのコントラストがまた良いです。

また、メリットの所で「塗り重ねで色を変えられる」とありますが、水性ステインも同じことが言えます。

一方で、オイル系・油性ステイン系はちゃんと染み込んでるため、逆に言うと重ねると1回目に塗った塗料が溶けてしまうから、意味がないです(本当に無い訳じゃないけど)。

水性ステインはステインと言っておきながら絵の具に近いと思ってます。


これ以外の組み合わせで気に入っているもの

①杉(加工材)+ワトコオイルエボニー

昔、リビングのキャビネットの上にある鞄ラックを作った時に試したもの。

当初は検証名目だったのですが、案外具合が良かったのでそのまま使ってます。

ただ、ラワンに比べるとやっぱり無垢の素材は節目がうるさくて、大好き、と言う訳ではないです。(これは塗料じゃなくて素材の問題)

②ウエスタンレッドシダー+オスモカラーエキストラクリア

PCデスクでお見せした板壁で使ってます(写真はリビングの壁掛けテレビボード)。

ウエスタンレッドシダーはようは杉なので、透明塗料を浸透させるだけでも見違えるようにコントラストが良くなり、色に深みが出ます。

③アカシア集成材+オスモカラーウオルナット+オスモカラーノーマルクリア

テレビボードで紹介した組み合わせです。アカシア集成材は比較的塗料を選ばないタイプのもので、前板に使うのにお勧めの素材。

因みに自宅にある家具の塗装で妻が一番好きなのがこれです。

④SPF+ローズガーデンカラーズ(ヌワ)+未ざらし蜜蝋ワックス

リビングキャビネットの前板です。

引き出しはSPFですが、下の扉はラワン合板で、両方とも使える組み合わせだということがわかりました。

ただ、ちょっと「昭和のちゃぶ台」感は否めないです。好みが分かれるところ。

⑤シナ合板+水性ウレタンニス艶消しチーク

子供用衣類収納の製作でシナ合板にカラーニスを試験的に使ってみたのですが、こちらも非常に良い具合でした。

子供用の衣類を入れる収納なので少し明るい色にしたかったのですが、見事にそれがヒットした感じです。

こんな感じですが、言い換えるとあれだけ無数に存在する素材と塗料の組み合わせで、これ以外に気に入ったものは無い、と言うことです。

「素材が塗料を規定する」ような感じでしょうか。


失敗例

あんまりデータが残っていなかったのですが、一例として。

⑥ワトコオイルを塗った上から一度サンディングし、WOOD LOVE オイルステイン+ブライワックス

上の方で紹介したSPF+ワトコオイルの「きったねぇ」前板を何とかしたくて、でも作り直すのも大変だしダメ元で、ワトコオイル(ある程度サンダーで削る)の上からオイルステインを塗って、最後にブライワックスのジャコビアンを塗りこんでみました。

きったねぇ第二段が出来上がりました。(笑)

この仕上がり(ワイルドな感じ)好きな人は居るかもしれませんが、住宅内のテイストではないですね。

多分なんですが、一度乾いたオイルが浸透の邪魔しちゃってるみたいです。

で、結局全部ラワン合板で作り直して、安定の和信ペイント 水性ウレタンニス艶消しエボニーで塗りなおしました。


終わりに

木材の塗装って、本当に選択肢が多いですよね。

ただ、「これが良い」って言うのは人によって絶対に違っていて、例えば最初に話したSPF+ワトコオイルの組み合わせが「これ最高!」って言う人も居るのかもしれません。

この辺りは、お家それぞれにテーマがあって狙っているテイストもそのテーマによって分かれる訳ですから、好み以前の問題なのかもしれません。

なので、こればかりは「これが正解」って言う物がなく、自分に合ったものを探す旅に出るしかないのです。

ただし、その「千里の道」も、凡その方角さえ掴めれば、それほど時間が掛からず求めていたものが手に入る
と信じています。

それでは皆さん、Happy DIY!

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